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電子ペーパー利用雑感: reMarkable2

電子ペーパーを使ってみたい

電子ペーパーなるものを使ってみたい。pdfなどの電子的なファイルを表示したり、書き込んだりできるらしい電子ペーパーなるものを使ってみたいと思っていた。今回は実際にreMarkable 2という電子ペーパーのレビューです。

現在は大学院生の身分なので、日夜たくさんの英語論文を読まなければいけない。ただ読むだけでなく、授業ではそれをもとに発言することが求められることがあるし、本文を参照する必要もある。ノートPCでも良いのだが、問題は大きく二つ

  1. 自分の思考をメモする際に日本語と英語が混ざったものを使うことになるが、キータイピングだと少し面倒。
  2. 図など、フリーハンドの方が書きやすい場面は少なからずある。

reMarkable 2の優位性

reMarkable 2の競合製品と比較したときの優位性は以下の点と考えている。

  • E inkで表示されることで、文章が読みやすい。
  • 書き込みがしやすい。
  • 反応が良い/距離感が良い/書き心地が良い。
  • 技適に対応しているので日本国内で利用できる。
  • 相対的にセキュリティ上安心。

    E-inkで表示されることで、文章が読みやすい。

    文字を読む際に、背面から発光しているディスプレイよりも反射光で読む方が内容が頭に入ってきやすい気がする。読むスピードも反射光の方が明らかに早い。

    書き込みがしやすい

    Adobe Readerのコメント機能などを利用してコメントをつけていくのは結構面倒くさい。その点、画面に直接ペンでハイライトを付けたり、書き込みをしたりできるのは楽。

    反応が良い/距離感が良い/書き心地が良い

    紙にペンで書いた時とタブレットスタイラスで書いた時の微妙な違いが気になって、今までは利用できないでいた。ペンを置いた場所と色が付く場所のちょっとした違いや、滑る速度など。reMarkable2の良いところは、この書き心地という点でとても満足できるものに仕上がっている点だ。なんというか、おっかなびっくり書く必要がない。普段紙に書くように画面に書ける。

    技適に対応しているので日本国内で利用できる

    reMarkable2には技適マークは付いていないが、MRA(相互承認協定)により、reMarkable2のモデル4つ(RM110, 111, 112, 113)について、技適に対応しているものとみなせる。要するに、日本国内で利用しても違法にならない。

(このセクションについては少し注意して読んでください。すべてのケースで当てはまるとは限らず、技適に対応していない製品を国内で利用すると電波法違反となることがあります。もしこの記事を参考に購入された方がいたとしても当方ではなんら責任を取れません。利用開始時に型番を確認し、MRA対象外ならば送り返して返金を依頼するのが良いと思います。)

相対的にセキュリティ上安心

これはBOOX Note air2を選ばなかった理由とかなりイコールになる。富士通クアデルノは海外からだと入手しにくいので…。 BOOX Note air2は性能面から見ると魅力的な商品に見えるが、商品のレビューなどで自分で当該機器をホワイトリストに追加する必要がある旨が報告されている。 そして、商品紹介ページを見ると、Android11を利用していると記載があるにも関わらず、Googleについての言及がない。この言及はGoogle製品を利用する際に本来は明示することが求められているものであり、現に、Google Prayを利用できる端末リストの中にこの機種を見つけることはできない。つまり、2022年4月現在ではGoogle側の認証を得ることなくAndroidを利用していることを意味しているので、セキュリティ上の懸念がある。少なくとも、自分で利用する上でも急に利用できなくなる日がくる可能性があると認識している。技適のMRAも確認できていない。

性能としてはとても魅力的な商品だと思いますので、是正されることを願っています。

なお、reMarkable 社はノルウェーの会社だが、製造は深圳のKaifa Technologyで行っているようだ(MRAのテストレポートを見ると書いてある)。実際に、私の利用している商品も香港から送られてきた。注文したときの住所は英国なので、日本だから香港発送ということではなく、そもそもノルウェーの方には発送の拠点はないということだと推測する。

reMarkable 2の懸念点

  • 書き込んだ内容をPCのファイルに反映させるにはサブスクリプション契約が必要
  • 日本語対応はイマイチ
  • ペン先の寿命は短いかもしれない

    書き込んだ内容をPCのファイルに反映させるにはサブスクリプション契約が必要

    PCに保存したpdfファイルなどをreMarkable2にコピーするのはドラッグ&ドロップですぐにできる。reMarkable2端末上で利用する分には問題ないが、reMarkable2で作業した内容をPCなどに反映させるにはサブスクリプション契約が必要になる。£5.99/月なので、月に1000円くらい。MS onedriveやGoogle Driveとの自動同期は便利だろうけれども、月1000円払い続けるほどではないかなというのが自分の判断。

    日本語対応はイマイチ

    ウリの一つはChromeExtensionを利用することでブラウザで閲覧中のWebページを出力してreMarkable2上ですぐに閲覧できるというものがある。ただ、この機能を利用できるのは英文のページだけであり、日本語はおそらくフォントの関係で、文字化けして読めなくなってしまう。 手書きの文字認識機能も日本語は非対応(文字多いしね…)。また、文章にハイライトを付けながら読むときでも、英文は単語レベルで認識して色を付けてくれるが日本語は少しガバガバ。文章単位はおろか文章を飛び越えて良く分からない範囲をハイライトし始める。

    ペン先の寿命は短いかもしれない

    ペン先は消耗品で、私の場合は一か月ほどで最初のペン先付替えが発生した。9本の替えペン先が付属しているとはいえ、この消耗速度は少し懸念点になるかもしれない。私のGoulerのスタイラスには反応しなかったので、他のスタイラスペンにもおそらく反応しないのではないかと推測する。

総じて

誰でも満足できるタイプのガジェットではないと思うが、reMarkable2が対応している形式であるpdfとepubでものを読み、メモを付ける人にはとても刺さる製品だと思う。色々と書いたが私個人は大変気に入っている。£300には見合うかな。